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一般社団法人特殊鋼倶楽部 新年賀詞交換会開催

 一般社団法人特殊鋼倶楽部の2020年新年賀詞交換会は、1月7日(火)午前10時から東京・ホテルニューオータニ"鶴の間"にて開催しました。

 当日はメーカー、商社、流通業者など業界関係者約700名が出席。

 挨拶に立った樋口眞也会長は「日本の特殊鋼業は、成長産業であり続ける可能性があるし、未来は明るいと考えている、そのような未来を実現することが我々の役割」と強調、続いて経済産業省製造産業局 高田修三局長が来賓を代表して祝辞を述べ、宇都宮悟副会長の音頭で乾杯いたしました。

 乾杯の後、交換に移り盛況のうちに閉会しました。

 樋口眞也会長の挨拶は以下の通りです

 

2020年新年挨拶
一般社団法人特殊鋼倶楽部
会 長  樋 口  眞 也

 

 新年あけましておめでとうございます。2020年の年頭に当たり、ご挨拶を申し上げます。本日はご来賓の経済産業省製造産業局の髙田(たかだ)局長様をはじめ、多数のご来賓の方々のご出席をいただき、多くの特殊鋼倶楽部の会員の皆様と新春を迎えることができますことに、特殊鋼倶楽部を代表して厚く御礼申し上げます。

 

 昨年は、国際的には、米中貿易摩擦の長期化、英国のEU離脱問題先送り、中東情勢の不安定化、香港民主化デモの激化・長期化等、世界の政治経済の不透明感が更に増した年でした。

 

 国内では、新天皇のご即位と「令和」への改元やラグビーワールドカップ等での日本代表チーム・選手の活躍などの明るい事があった一方で、九州北部豪雨、台風15号、19号など異常気象の常態化を痛感した年でした。災害で被害を受けた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

 特殊鋼に目を転じますと、2019年の特殊鋼の熱間圧延鋼材生産高は、12月24日に経済産業省が発表した鋼材需要見通しによれば、前年比8.5%減の1,902万トンと、3年ぶりに2,000万トン割れとなる見込みです。2018年までの特殊鋼逼迫状況から一変、昨年は年初から、生産、出荷とも前年比マイナスに転じ、生産高で見ても、1-3月507万トン、4-6月491万トン、7-9月465万トン、10-12月440万トンと月を追うごとに厳しさが増していく年でした。工作機械、ロボット、半導体製造装置など一部の向け先への調整の動きが、自動車、産業機械向け等、主要需要業界全体に拡がってきております。

 

 特殊鋼需要が減退している中で、鉄スクラップ価格は低下したものの、鉄鉱石、副原料、エネルギーコストや物流費用等は上昇あるいは高止まりし、ほとんどの会社が減収減益という状況下にあります。コストダウン等のさらなる自助努力はもちろんですが、自助努力のみでは吸収しきれない状況が続いており、需要業界の皆様に特殊鋼業界の実情について理解を求めていく必要があります。

 

 このように厳しい環境下にはありますが、中長期的視点に立って、平成を振り返りますと、日本の特殊鋼業は、生産量では30年間で3割増え、技術では世界一の水準を維持し、我が国製造業の競争力の根幹を支えてきた「しぶとい成長産業」でした。令和の時代を迎え、中長期に将来展望しますと、世界全体での特殊鋼需要が増加していくことは間違いありません。日本国内の少子高齢化や、主要な需要先である自動車の電動化に伴う特殊鋼原単位の減少等の課題もありますが、需要業界における技術課題、働き方改革・人手不足対応、グローバル化等に特殊鋼業界が貢献することにより、「日本の特殊鋼業は成長産業であり続け、未来は明るい」と考えておりますし、そのような未来を実現することが我々の役割です。

 

 昨年の当倶楽部総会で、新たな役員体制となり、理事会において、新役員体制の活動重点項目として、「特殊鋼の本当の価値」を、①ユーザー業界、②学生など一般社会、③外国政府も含めた海外に、広く認知して頂けるよう努めていくことを決定しました。

 

 当倶楽部の顔とも言える広報誌「特殊鋼」の2020年1月号では、「夢みる鉄」を特集テーマ名として、「特殊鋼の明るい未来」について特殊鋼業界の経営陣から若手まで執筆してもらいました。是非とも読んで頂ければと思います。

 

 また、展示会でのユーザー業界へのPRも進めて参ります。高機能金属展へは、関東で過去4回出展してきましたが、本年5月にインテックス大阪で開催される関西高機能金属展に初めて出展する予定です。特殊鋼及び倶楽部紹介、倶楽部出版物を展示するとともに、出展していない会員へ出展機会を提供したいと考えています。

 

 「特殊鋼の本当の価値」は、ユーザーに適正な取引価格が受け入れられることによって、本当に認知して頂いたと言えます。当倶楽部では、2018年に、価格決定方法の適正化問題の改善及び実態調査の要望書を経済産業省金属課殿に提出しました。経済産業省及び鉄鋼業界全体の動向を踏まえ、引き続き取引適正化の推進を進めて行きたいと考えています。経済産業省中小企業庁が主催する「価格交渉サポートセミナー」を、全日本特殊鋼流通協会殿との共催で、本年2月7日に東京で、2月27日に名古屋で、3月に大阪で実施予定です。価格交渉に必要なノウハウを専門家がアドバイスする内容となっています。多数ご参加下さい。

 

 人材確保も引き続き重要な課題です。当倶楽部では、業界紹介パンフレット「夢みる鉄」、「特殊鋼」ポスター、人材確保用映像コンテンツ、キャラクターぬいぐるみ「夢鉄ちゃん」といった「特殊鋼ブランディング品」を企画・作成してきました。現在、会員企業での活用状況をアンケートし、その情報を共有することで、特殊鋼業界のアピールと人材確保のためにより広く活用頂くよう取り組んでおります。

 

 昨年末には、米中貿易交渉が進展したとの発表があり、世界の株式相場が軒並み上昇しました。しかしながら、製造業を中心とする実体経済との温度差があり世界経済の回復は見られておらず、保護貿易的な動きが相次ぐ可能性は引続きあると思います。日本の特殊鋼は、輸入国の国内産品と競合しておらず、輸入関税が課せられると、輸入国のユーザー産業の競争力を損なうことになります。通商問題にしっかり対応し、海外でも日本の「特殊鋼の本当の価値」を正しく理解してもらうことがより重要となっています。当倶楽部として、経済産業省殿のご指導ご支援を頂きながら、ステンレス協会殿や日本鉄鋼連盟殿と連携し、通商問題に対する会員会社の支援を行っていきます。

 

 さて、今年は子年です。ねずみは多産であることから繁栄の象徴とされているそうです。1月末には英国のEU離脱による不確定要素の減、夏には東京オリンピック・パラリンピック、11月には米国大統領選挙があり、景気回復を期待したいところですが、不透明感が払拭できる状況とは言えません。しかしながら、特殊鋼業界が製造業、産業、社会に貢献していくために挑戦すべき課題は明確になっていると思います。課題に着実に取り組み、「特殊鋼の明るい未来」の種を育んでいく1年にしようではありませんか!

 

 最後に皆様と特殊鋼倶楽部会員各社のますますのご発展を祈念いたしまして、私の新年の挨拶とさせて頂きます。

 

 

 【経済産業省 製造産業局 高田修三局長】        【宇都宮副会長】 

 

 【左から樋口会長、立花副会長、宇都宮副会長、佐久間副会長、小澤専務理事】 

 

         【会場風景】              【会場風景】 

 


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