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一般社団法人特殊鋼倶楽部 藤岡会長2023年新年挨拶

 

一般社団法人特殊鋼倶楽部
会長 藤岡 高広

 新年あけましておめでとうございます。2023年の年頭に当たり、新年のご挨拶を申し上げます。

【特殊鋼倶楽部70周年】

 まず最初に、特殊鋼倶楽部は1952年(昭和27年)5月16日に設立されましたので、2022年(令和4年)をもって創立70周年に達しましたことをご報告いたします。創立当初は、特殊鋼専業メーカーと専業問屋との業界発展のための交流の場として任意団体でスタートしましたが、時代を経ると共にメーカーでは特殊鋼専業に加えて高炉および普通鋼電炉、流通業では総合商社も会員として加入し、1983年(昭和58年)には通商産業省から社団法人の認可を受けるに至りました。その後、2013年(平成25年)には内閣総理大臣から一般社団法人への移行が認可され、現在に至っております。現時点では、会員はメーカー25社、流通業者101社という規模になっております。

 振り返ってみますと、創立当初の1952年度の我が国の粗鋼生産は691万トンであり、そのうち特殊鋼粗鋼は47万トン、粗鋼に占める特殊鋼の比率はわずか6.7%でした。このような状況から70年を経て2021年度には、粗鋼9,564万トン、うち特殊鋼粗鋼2,227万トン、特殊鋼比率23.3%にまで拡大・成長してきております。

【カーボンニュートラルへの取り組みとミルシート電子化拡大】

 さて、2021年5月に私が特殊鋼倶楽部会長に就任しました時に、会長としての基本的な思いは「我が国特殊鋼の競争力の向上」を目指した活動を行って参りたいという点であり、特に最近の社会経済情勢を踏まえ、「カーボンニュートラルへの取組」と「DX 推進のための一環としてミルシートの電子化拡大を念頭に課題を整理する」の2点について重点的に取り組む旨を表明いたしました。

 「カーボンニュートラルへの取り組み」につきましては、2021年7月に特殊鋼メーカー3社および商社1社のメンバーにより「カーボンニュートラルWG」を立ち上げ、会員会社へのアンケートの実施、経済産業省等の外部講師による講演会の開催、カーボンニュートラル専用サイトの設置、Q&Aコーナーの開設、特殊鋼教養講座での講義、特殊鋼関係企業の取り組みの紹介、等の活動を行って来ました。今後も引き続き内容を充実し、更なる情報発信をして行く予定であります。

 また「DX 推進のための一環としてミルシートの電子化拡大を念頭に課題を整理する」につきましては、2021年8月に特殊鋼メーカー3社、流通・商社6社のメンバーにより「ミルシート電子化拡大WG」を立ち上げ、2回のアンケートを実施し、その結果を踏まえ、日本鉄鋼連盟の協力を得ながら「公知の汎用技術を用いた既知のルール」を活用し、ミルシートのIT化、システム化を推進すべく活動を行って来たところであります。

【「パーマクライシス」の時代における特殊鋼倶楽部の取り組み】

 最近の世界情勢を一言で表現すれば「パーマクライシス」の時代ということが出来ると思います。「パーマクライシス」とは「永続する」という意味の「パーマネント」からとった「パーマ」と、「危機」を意味する「クライシス」をあわせた言葉であり、「長期間続く不安定な状況」というような意味です。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や長引く新型コロナウイルスの感染拡大など、今後はコントロール出来ない不安定な状況が世界的に続くものと思われ、特殊鋼業界としてもこれらを「先読み」しながら早め早めの対応を取って行く必要があります。

 その「先読み」のための情報提供として、特殊鋼倶楽部では報告会・勉強会を、7月「海外特殊鋼メーカーの現状とその取り巻く環境」、「主要自動車企業の調達戦略の見直し等を織り込んだ特殊鋼の需要量予測」、「貿易救済措置の制度に係る勉強会」、8月「日本の直面するエネルギー政策の課題~Clear and Present Danger」、9月「BEV時代を見据えた自動車中小部品製造/加工企業のイノベーション~ケーススタディから見える取組みの方向性」、「不公正貿易報告書等の説明会」、12月「中国・脱炭素への論調変化と今後の戦略」等のテーマで開催し、会員企業への情報提供に努めているところであります。

 また特殊鋼についての理解を深めてもらうため、5月には高機能金属展の関西展に浅井産業(株)、南海鋼材(株)と、12月の東京展にはクマガイ特殊鋼(株)、南海モルディ(株)とそれぞれ共同出展しました。

 最近の日本経済は、新型コロナウイルスへの対応と経済活動の両立を図るウィズコロナの段階へと移行するなか、総じて緩やかな持ち直しが続いております。しかしながら、原燃料価格の高騰や電力料金および物流費の増大によるコストの上昇、地政学リスクの高まり、サプライチェーンの混乱による供給制約、ゼロコロナ政策を継続する中国経済の動向等、多くのリスク要因を抱えております。

 このような背景もあり、2022年度の粗鋼生産量は8,893万トン(前年度比7.0%減)、特殊鋼熱間圧延鋼材生産量は1,675万トン(前年度比8.5%減)の見通しとなっております。(注:経済産業省2022年12月22日発表「需要見通し」)

 このような厳しい社会経済環境に対処するため、本年も引き続き広報や統計など、基盤的な事業を着実に実施し、製販一体の団体であるという特徴を最大限に活かしながら、メーカー会員・流通会員が連携・協力して、「パーマクライシス」の時代における「我が国特殊鋼の競争力の強化」のために取り組んでいくことが必要と考えております。

 最後になりましたが、特殊鋼倶楽部会員各社のますますのご発展を祈念いたしまして、私の新年の挨拶とさせていただきます。


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