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一般社団法人特殊鋼倶楽部 福田会長2026年新年挨拶

 

一般社団法人特殊鋼倶楽部
会長 福田 和久

 新年あけましておめでとうございます。2026年の年頭に当たり、新年のご挨拶を申し上げます。

 さて振り返りますと、2020 年初頭から2023年前半まで続いた新型コロナウイルス感染症により世界経済は大きな影響を受けました。さらに2024年は年初に起きました能登半島地震やその後の水害等により地域に大きな被害がもたらされました。我が国はこの間に多くの課題を克服し、日本経済は今後は緩やかに回復することが期待されておりますものの、内外需ともに力強さを欠いている状況にあります。世界に目を向けますと、米国の一連の関税措置による影響の顕在化、増勢を強めたままの中国の鋼材輸出、ロシアにおけるウクライナ侵攻の長期化や中東地域をめぐる情勢、などのリスクが継続し、国内では物価上昇や人手不足による生産活動への影響など、多くのリスクが内在し、不安定で不確実な環境下にあります。

 このような背景もあり、経済産業省が昨年末に公表した鋼材需要見通しによりますと、2025年度の我が国の粗鋼生産量は8,033万トン(前年度比3.2%減)、特殊鋼の熱間圧延鋼材生産量は1,502万トン(前年度比2.5%減)の見通しとなっております。

 さて昨今の世界の鉄鋼市場に目を向けますと、中国の過剰能力問題を背景とした鋼材輸出の記録的な増加に対し、各国・地域が相次いで通商措置を発動する中、対日輸出圧力は強くなっており、我が国においても輸入通商対策の必要性は更に高まって来ております。このような背景のもと日本政府は昨年7月に中国産等のニッケル系ステンレス冷延鋼板等に対する不当廉売関税の課税に関する調査(いわゆる「アンチダンピング調査」)を開始しました。特殊鋼倶楽部としましても日本鉄鋼連盟やステンレス協会と連携し、本調査に適切に対応することとしております。また不当廉売関税にかかる迂回防止制度の早期創設につきましても、昨年8月に日本鉄鋼連盟等と連携して日本政府に要望したところであります。

 言うまでもなく特殊鋼は「先端技術の融合体」であり、鉄鋼材料の中で独特の高い機能を有する材料であります。自動車をはじめとする輸送機器や産業機械、建設機械、工作機械等、幅広い産業分野の中核部品材料として使われております。また、家庭においてもキッチンや器具では広くステンレス鋼が使われるなど国民生活と密接な関わり合いを持つものであり、特殊鋼産業が人々の生活を支えているといっても過言ではありません。

 しかしながら、現在の特殊鋼業界は、需要面では国内市場の縮小・構造変化、供給面では、製造コストの増大、海外特殊鋼メーカーや他素材との競合激化など厳しい状況にあります。またサプライチェーンの確立も喫緊の課題となっております。このため特殊鋼業界が更に発展を続けて行くためには、既存の製品分野の技術力・製品品質をさらに高度化することが大切でありますが、それに加え、これまで培って来た特殊鋼技術を核として、航空宇宙分野、海洋分野、エネルギー、電子部品分野など今後も需要拡大が見込まれる領域に向けた研究開発、技術開発を推進することも極めて重要です。また将来の特殊鋼業界を支えるあらゆる分野での人材を確保・育成していくことも継続的に取り組んでいく必要があります。

 特殊鋼倶楽部としては、会員各社の今後の経営戦略の策定に資することを目的として、2024年度には「足元の電動車普及に伴う特殊鋼産業への影響~ASEAN市場(中国企業の進出)編~」、「インドの特殊鋼生産動向調査」の2テーマの調査を行い、2025年度にその報告書を会員各社に配付いたしました。また、2025年度は「水素市場・産業の拡大に伴う特殊鋼ビジネスの可能性調査」、「成長著しいインド・モビリティ産業・市場における日本特殊鋼メーカーのビジネスチャンス分析」と題する調査を実施しているところであり、調査の完了次第、報告会を実施する予定としております。

 今後、特殊鋼業界においては、原材料調達から最終製品に至るまで世界にまたがるサプライチェーンの強靭化、カーボンニュートラルへの対応、物流問題への対応、鉄スクラップの循環、等がますます重要な課題となっております。特殊鋼倶楽部としましては、このような課題について引き続き世界各国の動向等を調査し、講演会や勉強会を開催していくこととしております。

 以上の活動に加え、工場見学会、学生や企業人材への講演など実施すると共に、広報や統計など基盤的な事業を着実に実施し、製販一体の団体であるという特徴を最大限に活かしながら、メーカー会員・流通会員が連携・協力して、「我が国特殊鋼の競争力の強化」のために取り組んでいくことが肝要と考えております。

 最後になりましたが、特殊鋼倶楽部会員各社のますますのご発展を祈念いたしまして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。

以上


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